
📋 目次
- イントロダクション:ドラゴンの王子、登場
- どこでいつ見つかった?化石の再評価
- Khankhuuluu mongoliensis の特徴
- 進化の「ミッシングリンク」とは?
- アジア ↔ 北米の恐竜大移動
- 研究成果と今後の展望
- まとめ:恐竜進化のパズルが見えてきた
1. イントロダクション:ドラゴンの王子、登場
2025年6月、モンゴルで発見された1970年代の化石が再解析され、「Khankhuuluu mongoliensis(カンクフルウ・モンゴリエンシス)」という新種のティラノサウルス類と確認されました。学名は「ドラゴンの王子」を意味し、ティラノサウルス科最大級の祖先と考えられています 。
2. どこでいつ見つかった?化石の再評価
- 発掘地・時期:1972〜73年、モンゴル南東部のバヤンシリー層で採取された部分化石 ◆
- 分類の見直し:当初は別種の Alectrosaurus とされていましたが、CTスキャンなど最新技術によって独自の特徴があると判明 。
3. Khankhuuluu mongoliensis の特徴
- 生息年代:約8600万年前(白亜紀中期) 。
- サイズ:全長約4 m、体重約750 kg(約1600ポンド)、馬ほどの大きさ 。
- 体形・頭骨:スリムな身体と浅い頭骨を持ち、鋸歯状の歯で小型恐竜を狩る敏捷な捕食者 。
- 中間的進化形質:初期ティラノサウルスと後期の巨大種の間をつなぐ「中間型」の形質を多く持っています 。
4. 進化の「ミッシングリンク」とは?
Khankhuuluu は、これまで空白だったティラノサウルス科の進化系統に重要な位置を占める存在です。
この種の登場により、小型始まりから3000kg級の巨体へと進化した道筋がより明確になりました。研究者はこれを“missing link”(失われた繋がり)と評しています 。
5. アジア ↔ 北米の恐竜大移動
- 最初の移動:約8600万年前に Khankhuuluu の祖先がアジアから北米へ渡り、その地で初期の大型ティラノサウルス類が進化 。
- 復路:さらに約7800–7900万年前、北米からアジアへ戻り、ここで Tyrannosaurini(大型種)と Alioramini(小型種)の2系統に分化。
- 再移動:後に一部が再び北米へ移動し、T. rex をはじめとする最終系統へと進化すると推定されています 。
6. 研究成果と今後の展望
- 発表論文:2025年6月11日付で Nature 掲載 。
- 研究チーム:カールガリー大学(カナダ)とモンゴル科学院が中心。jared Voris 氏、Darla Zelenitsky 女史らが主導。
- 今後の課題:初期型ティラノサウルス類(Khankhuuluu より前段階)の化石発見や分析により、さらに進化の全体像が明らかになる見込み 。
7. まとめ:恐竜進化のパズルが見えてきた
Khankhuuluu mongoliensis の発見は、ティラノサウルス類の進化における重要な断片を埋めるものでした。
- 体型・機能ともに「中間的」な形質を持ち、
- アジア・北米間の移動・分化を裏付け、
- 進化系統の再構築を大きく前進させました。
今後の化石発掘と解析が、最終的な“恐竜の家系図”をさらに精緻化することでしょう。
写真:Una ilustración del dinosaurio ‘Khankhuuluu mongoliensis’.JULIUS CSOTONYI
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